2020年3月16日月曜日

そのさんびゃくろくじゅうきゅう

 数年前に脳波の検査を受ける事になって、少し大きな(ほんと少し)病院へ行きました。

 薄暗い部屋へ通され、頭に沢山の何やら機器を取り付けられ、いざ検査が始まると部屋は真っ暗に。

 その後、部屋の照明が赤くなったり明滅したり、変な音が鳴ったり止んだり、長い時間その検査は続きました。

 数週間後に検査結果が出て、病名をここへは記しませんが、光と音に弱い、という診断が下されました。場合によっては身体が痙攣したり、倒れて意識を失ったりするという病気ということでした。

 その検査結果を聞き、ワシは「おいおい、今までどうやってライブやってきてん」と思いました。
ライブハウスなんて、音はバカでかいし照明はギラギラです。

 でも他のバンドと少し違うのが、うちのバンドみんながそういった演出が苦手だったということと、その演出に見合った派手な楽曲が一切なかったということ。

 ライブのリハーサル前にセットリストといって、各パートの立ち位置や機材の置き場所、曲順やその曲調、どこでMCを入れるかとか、そういったことをライブハウスの担当の方々へ紙に書いて提出するのですが、その中には照明のオーダーなんかもあったりしました。

 うちのバンドは9割がテンポの遅い曲ばかりで、しかも曲調も暗いし、何より演出が苦手なメンバーばかりなので、照明のオーダーはいつも決まって『暗め』と全曲書いていたもんです。

 ライブ自体は多くても月に3本程度、各30分前後の演奏ばかりでしたが、今になって思うところがあります。
それは、だんだんバンドの活動が順調になってきた頃、ワシは1本のライブ演奏をやった次の日には、身体がほとんど動かせず、ひたすら眠っていたということ。ひょっとしたらその頃から前述の病気は発症していたのかも知れません。

 当時はただ単純に体力がないだけ、と思っていましたが、たかだか30分間でテンポの遅い曲ばかり演奏してそこまで疲れるものでもないと今になっては思います。だいたいラストは暴れてノイズ出してたけど、そんなの最後の2〜3分間のことだし。

 もちろん皆さんには分からないと思いますが、演奏というのは本当に体力や気力が相当削られます。集中している証でもあるとは思うのですが。
だからライブペイントで2時間以上も演奏を、それも即興での演奏というものは、一番の大仕事でした。バンドでの時はそれぞれ休み休み出来ますが、一度荒井良二さんのライブペイントで1人で演奏した時は、演奏中に力がどんどん何処かへ吸い取られていってるのが分かったくらいです。

 でも嬉しかったのは、いつもライブペイントで演奏させて頂いていた専門学校の校長先生が、バンド時代からも含めて「よかったよ。めちゃくちゃよかったよ」と初めて口に出して褒めて下さったことでした。そりゃあ、1人だから、余計に頑張りましたよ…。

 『病は気から』なんて話をこの前リキたちとお話してたのですが、それは本当にそうだと思います。もちろん気だけで発症したり回復したりするものでもないとは思います。

 ミュージシャンも大変でしたよ。