2020年4月27日月曜日

そのさんびゃくななじゅうさん

 荒井良二さんのドローイング動画へ加えた音楽制作のことを綴ろうと思います。といっても、まだあと2曲作らないといけないのですが。

 今回お話を頂いて考えたことは、まぁ当たり前ですがまずは動画を見て自分が何を感じるか、ということでした。そして動画を見ながら浮かんだことばや気をつけないといけない事、描いてる鉛筆の音を消したくないなとか、曲数などをメモしてから制作に挑みました。

 今まで荒井さんのライブペイントで何度か演奏させて頂いた時の感覚と、同じように描いてる動作を見ながらの音楽なのに、これはちょっと全く別物だなと思いました。

 ライブペイントの場合は目の前に荒井さんが絵を描いていき、眼前にその絵と対峙して感じたこと(音)を瞬時というか刹那に紡いで発音していたのですが、動画はそういう訳ではなく、何度でも見れるし、早送りしたり巻き戻ししたり出来るから、感覚が違いました。

 ほぼ全てを絵の順番通りに作曲していますが、初めは絵を描いている時間、それだけを考えて作ってみました。そしてそれを自分で動画に付け加え、具合を見てみました。うん、なんだかそれは間違いではなかったようです。

 2,3曲制作した後、今度は次に音楽を付ける動画を見ながら雰囲気を感じてそれを音にしたらどうなるかなと考え、それを反映しました。うん、それも間違いではなかったです。

 ただ、とても大変な制作です。だいたいどれもが同じような時間で描き上げられるし、通常のインストゥルメンタル音楽のように展開をさせるのも難しいです。ですから、ほとんどループミュージックで構成しています。動画の編集を自分ではなく、石川武志さんが手がけるということもあり、その作り方の方が編集もしやすいかなと思いました。

 ループする音楽は簡単に作れてしまうから反対に難しいのです。ずっと聴いていられるような繰り返しならば万々歳ですが、中々上手くはいかないし、そういう聴き方を出来る人も少ないので。だから同じ繰り返しでも、音数を途中で出し入れしたりして展開しているように聴かせたりしています。こういうやり方はオーソドックスではありますが。

 音楽単体に関して言えば、優しいものを目指しました。今の時世を考慮しての今回のお話だったので、なるべく暗くならないように志しました。ちょっと間抜けなリズムとかフレーズが凄く気に入っています。一人だけで音楽を作っていたら作らないような音とフレーズなので。ダサいものは敢えてよく作りますけど。その方がかっこいいから。

 そして、まだ動画は第二弾が公開されたばかりで、今この段階でお話するのも早いことかも知れませんが、最後に歌が1曲入る予定です。ずっと歌無しなのに最後だけ歌入ってびっくりされるのもちょっとな、と思ったので、今の段階で宣言しておきます。

 歌といっても、弾き語りを公園でしたものを録音しただけです。どうしても風の音を入れたかったのです。

 他の曲も音数(楽器)を極力減らしているので、最後に弾き語りが入っても違和感はありません。どうしようかな、先に歌詞だけ載せてもいいかな。ボツにならないかな。

 公園で録音した意味が他にもあります。そこの公園は大きな公園で、定期的に園内アナウンスがあります。今なら新型コロナウイルスについてのアナウンスもあるのです。そのアナウンスも入れたかったのです。

 色んな場所へ出掛けられない今の状況ですが、不必要なことで出掛けてしまっている人もいます。公園の広場へ行くと、大勢の人がいました。そりゃあずっと家に居るのも辛いし、外の空気を吸ったり軽い運動をしたりといったこともあるでしょう。でも、みんなが同じ所へ集まってしまっては意味がないのでは?団体でサッカーしている若い子たちがいました。マスクをしていない子もちらほら。

 自分だけマスクをつけて、手を繋いだ小さな子はマスク無し、そんな親子も。そしてそれを眺めるワシ。

 色んなことがおかしいのです。繰り返しますが、ワシもです。ただ、人のいない所をなるべく探しに探しはしました。そしてとっとと録音して去りました。録音は2日間やりました。

 歌詞載せます。


『日々、こだま』

ある日ぼくは風の匂いをかいで土に立っていた
今日もきみと二人でここにただいるだけだったんだ

今が消えていく

暗い空の中に太陽と月が昇る

まだハッピー まだラッキー
ついさっき またサンキューと言えた

こだまの毎日 それが全てで ひとつだけの尊さ
儚い昨日の無色透明な心に色をつけて

雨も優しい

明るい雲間に六色の虹が架かる

今がハッピー 今がラッキー
ついさっき まだ言えなかったことば

愛してね 愛するよ
手を繋ごう ずっと繋ごう


 以上です。自分なりに今回のことを考えて詩を綴りました。メロディーと詩、コード進行、全て同時進行で、すぐに出来ました。ほとんど何も迷うことなく、浮かんだことばが勝手にメロディーに乗り、それがコードと一体となりました。同時にパッと浮かんですぐに作曲出来ることがたまにありますが、今回の作品もそういうものと同じでした。

 捉えようによっては"ハッピー"とか"ラッキー"が良くない表現と捉われてしまうと思うので、先に簡単に説明しておくと、今の状況がハッピーだとかラッキーだとかということでは決してありません。この歌は"日常"="日々"のことを歌った歌です。何でもない日々の繰り返しが、実は一番尊いんです。嬉しいことがあり、悲しいことがあり、寂しさや怒りがあり、そして何にもない日もある。それが日々だと思います。

 その日々の繰り返しが"こだま"ということです。こだまは発信がないと返ってきません。今を生きるから明日があるということですかね。そして明日がこだまになって明後日になる。ずっとその繰り返しです。

 今回の制作については、今まで行った制作のどれもと違って、山ほど説明したいことがありますが、そういう訳にもいきませんし、なんせまだあと2曲作るのでこの辺りで。

早くオフライン飲み会したいですね。