朝、いつも通り起きた。途端にあたまの内側がハッとして音楽が流れた。
聴いたことのない音楽。自分だけのメロディー。
その音を逃がさないように、忘れないようにする為にはどうしたらいいのかを考えると、それは音を閉じ込めておくことだった。
どうすればそう出来るのかのかは、単純にギターを弾きながら歌い、カセットテープに録音すればいいのだ。
でも手段がなかった。ギターを弾いて歌うことは出来ても、録音する『道具』がなかった。
CDコンポにカセットテープは入っても、マイクも指さらなければ肝心のそのマイクも無い。
じゃあどうすればいいのか。それは『テープレコーダー』を手に入れることだった。そう閃いた。
それは朝。少し早い朝。いつも通り始まる一日をいつも通り過ごす間にその音楽は逃げていってしまう。忘れてしまう。
慌てた。
学校をサボった。多分初めて意識的にサボった。テープレコーダーを手に入れるまでに、手に入れられる時間になるまで頭の内側でその音楽を流し、頭の外側でギターを弾いて歌った。
いつもとは反対へ向かう梅田へ向かう阪急宝塚線庄内駅のホーム。電車に乗ってたった10分と少しの間も、頭の内側は懸命に音楽を流した。
テープレコーダーを買った。SONYの3000円くらいの。
すぐにまた庄内へ帰り、家に戻った。
ギターを弾いて歌った。聴いたことのなかった音楽はカセットテープに閉じ込められて、初めての自分だけのメロディーはもう頭の内側から逃げていってしまっても大丈夫。
ラララと歌ったメロディーは、その後しばらくしてからことばが乗って『歌』になった。自分の歌。自分が作った音楽。
初めて音楽を作った日のことを急に思い出しました。15歳か16歳になってたかの頃です。
今はもうなんにもしなくても、忘れてしまっても自分の音楽や歌は作れますが、その時は本当に慌てたものです。凄くドキドキしたのを思い出しました。思い返せばとてもキラキラしてます。
その時に作られた曲は結局演奏することはなかったのですが、初めて作ってからは『コツ』を掴んだのか、作れるようになりました。
でもそういうコツを掴むことが演奏にしても創作にしても我れながら少し上手だった(ように思う)ワシは、すぐに出来た気になってしまい違うやり方をしてしまって、なんでも広く浅くなってしまいました。
初めて作って2年経った頃には『歌』を作るような作り方ではなく、始めの段階で編曲して(一番最初は曲名)最後にメロディーとことばを作るような作り方になってました。
どんな作り方が良いとか悪いとかはないけど、バンドを辞めてからはことばから始まります。
むちゃくちゃ好きな曲、tobaccojuiceの「ドリームス」。